「ヨイショ たがやす はたけの つちは ほってホカホカ くろい つち ドッコイショ」 畑を耕し、種をまき、畑仕事を楽しむ著者田島征三さんの鼻歌のような楽しい歌づくし。野菜たちが動き出しそうな生き生きとした絵で描きます。パセリの葉陰で雨宿りをする一人ぼっちのてんとう虫。おてんとさまに思い焦がれるトマトの娘。むかごの念仏に退屈して歌いだすまつ虫。土手に捨てられたせつないかぼちゃ。野菜や虫たちの気持ちも伝わってきて、『はたけうた』は、小さな畑の住人たちへの応援歌にも聞こえます。この作品は、1985年に「こどものとも」として出版された作品です。田島征三さんは、『しばてん』『やぎのしずか』(偕成社)、『ちからたろう』(ポプラ社)、『ふるやのもり』『だいふくもち』(福音館書店)など数々の傑作絵本を生み出し、最近では、『ガオ』など、木の実を並べて画面を作るという新しい手法でも絵本づくりに挑戦し、絵本の世界をも広げてくださっている著者ですが、「どの作品が一番好きですか?」と伺った時、『はたけうた』だとおっしゃいました。田島さんの小さいなものたちへの優しいまなざしがそのままの形で一番感じられるのは、確かにこの作品かもしれません。
다시마 세이조 田島 征三(たしませいぞう)
1940年、大阪府生まれ。幼少期を高知県で過ごす。多摩美術大学図案科卒業。大学在学中に手刷り絵本『しばてん』(1971年に改作し、偕成社より出版)を制作。
1969年より東京都西多摩郡日の出町で農耕生活を営みながら絵画や版画、絵本を制作。1988年、伊豆半島に移住する。絵本に『とべバッタ』『ふきまんぶく』(偕成社)、『ガオ』『おじぞうさん』(福音館書店)、『いろいろあっても あるきつづける』(光村教育図書)など多数。エッセイ集に『絵の中のぼくの村』(くもん出版)などがある。
国内外での受賞多数。日本を代表する絵本作家として精力的な活動をつづけている。